2026年03月01日
革製品を手にしたとき、その端(エッジ)に引かれた一本の筋に気づいたことはありますか? それは「捻入れ(ねんいれ)」と呼ばれる、職人の手仕事が生み出す魔法の一線です。 今回は、革仙家が最も大切にしている工程の一つ、この「捻入れ」の秘密についてお話しします。
捻入れとは、熱した専用の工具を使い、革の端に沿って筋を入れていく作業のことです。 単なる飾りだと思われがちですが、実は革製品の「命」を守るための非常に重要な役割を担っています。
革の端は、使っていくうちに最もダメージを受けやすい部分です。 熱を加えた工具で圧力をかけることで、革の繊維をギュッと凝縮させ、密度を高めます。これにより、
型崩れを防ぐ
耐久性を格段に上げる という、実用的な強さが備わります。
見た目においても、捻入れは大きな役割を果たします。 輪郭に一本のラインが入ることで、パーツに影が生まれ、平面的だった革がパッと立体的に浮き上がります。この「引き締め効果」が、製品全体に高級感と凛とした表情を与えてくれるのです。
私たちは、目に見える部分だけでなく、すべてのパーツに捻入れを施します。 非常に手間のかかる作業ですが、これを怠りません。
「強さと美しさを、一つ上のステージへ格上げする」
それが革仙家のモノづくりに対する姿勢であり、お客さまに長く寄り添う製品を作るための約束です。
手元にある革製品を、ぜひ一度じっくり眺めてみてください。 そこに刻まれた細かな一線に、職人のこだわりと、使う人への想いが込められています。
革仙家の製品を手に取った際は、ぜひその「一線の美学」を感じていただければ幸いです。