2026年03月13日
レザークラフトにおいて、作品の美しさを左右する最も重要な工程の一つ。
それが**「目打ち」**です。
革に穴を開け、ステッチを縫うための道筋を作るこの作業。実は、想像以上に神経を使う「一発勝負」の連続であることをご存知でしょうか。
なぜ「目打ち」で仕上がりが決まるのか
私が目打ちにこれほどまでに心血を注ぐのには、理由があります。
1度の狂いが命取りになる「美しさ」
穴の並びがわずか 1度でも傾けば、糸を通した時にステッチがガタついて見えてしまいます。流れるような美しい直線を作るには、一点の曇りもない正確さが求められます。
「裏面の罠」との戦い
表面が綺麗に見えていても、刃が垂直に入っていなければ、裏側のステッチは蛇行してしまいます。表裏、どこから見ても美しい仕上がりにするためには、一打一打、垂直を保つ集中力が欠かせません。
やり直しのきかない「修正不能」な作業
革は、一度穴を開けてしまえば、消しゴムで消すことはできません。文字通り「後戻りのできない」緊張感がそこにはあります。
一瞬の気の緩みが招く「絶望」と、そこからの「再起」
細心の注意を払っていても、失敗してしまうことはあります。
一瞬の気の緩みで、わずか一穴、ずれてしまう。
そうなれば、それまで何時間もかけて準備してきたパーツは、すべて台無しになってしまいます。正直に申し上げれば、その瞬間の喪失感は大きく、やり直しのモチベーションを立て直すのにはかなりのエネルギーを要します。
しかし、「それでも、いい作品を届けたい」。
その一心で、私は一から気分を切り替え、再び真っさらな革に向き合います。
妥協したまま形にすることは、職人としてのプライドが許さないからです。
丁寧な手仕事の証として
革仙家では、この神経を削るような作業を、楽しみながらも真剣に受け止めています。
一穴ずつ、丁寧に、リズム良く。
その穴の並びは、私が作品に込めた誠実さの象徴でもあります。
今日も一針一針に魂を込めて、皆様に長く愛していただける逸品を仕立ててまいります。